×××× IN MY HEAD

筒井です。夢はお笑い芸人のままです。

衛星

 

 

先日、The Whoopsのライブに行った。

 

 

 

 

   ライブが好きじゃない。年に5回行けばいい方の人間で、なんならBillboardのような高貴な場所を今年経験してからというモノ、他のライブハウスなんて余計落ち着かない。いい飯を食いすぎた動物のような気分だ。なぜ苦手なのかを巡らせると、人が多いところはどこに自分がいればいいのかがわからないし、みんなが手を挙げたら僕も挙げなきゃいけないような“あの空気”だったり、終わった後にドリンクを引き換える前で駄弁る“その界隈”だったり、とにかく小さければ小さい程ライブハウスが苦手になってしまった。歳を取る程何かに対してビクビクするようになるなんて、老犬と筒井くらいじゃないのかな。対してフェスはいい。好きなようにバンドを観て、出入りも自由なくらいが僕には丁度いいらしい。

 

 

   Twitterでも書いた通り(森氏が拡散してくれた)に、僕は昔付き合ってた彼女(いわゆる元カノ)と二人でWhoopsのワンマンに行く予定だった。別に今もまだ好きってわけでもないし、何なら僕からフっている側で、僕には誘う権利すら無かったんだけれど、森氏と元カノは大学の友達ってので僕は誘ってみた。ライブ観たことないって言うしさ。チケットを取ったのは夏頃だったけれど、直前頃になって「彼氏がいるからライブには行けない。」とメッセージをもらった。至極真っ当であり、そういう点には芯のある人だから僕は無理矢理誘うこともなく、ラインに対して意味のない愛想笑いをして、何日か経った。Twitterでチケットを譲りますと声を出してみたし、たくさんRTしてもらったけれど、結局誰にも譲れなかった。どんな気持ちだと問われると何とも言い難いけれど、なんだか当初行くはずのない人と僕が行くという変なプライドが邪魔して許せなかった。そもそも知らない人にチケットを渡して、待ち時間はどうするんだ。その人と一緒にいればいいのか、離れるのか、そんなことでライブ前に気を遣いたくない。なんなら僕がチケット代も払っているんだから、二倍楽しんでやろうと思い、チケットを二枚持って当日は向かった。A32とA33だったが、今も番号A33は誰にも使わていない。

 

   ライブレポートみたいなものは性に合わないし、きっともっと素敵な人がたくさん書いているだろうから端折る。ただただ、素敵なライブだった。僕は一人端っこで灰皿に寄りかかるようにジッと観た。どうしてこんなにも衛星が刺さるのか、季節の変わり目だからか、寒くなってきたからか、何かに高揚することがなくなってきたからか、思い出に取り残されたからか、自分だけがいつも止まっているからか、共感なのか、何なのか。とにかくまあ、素敵だった。

 

   時間の経過や色褪せそうな記憶を描くのに長けたバンドはたくさんいるかもしれないけれど、The Whoopsはその塩梅が絶妙すぎる。絶妙という抽象的な言葉だけでは申し訳ないくらい、細かく切り取ってある。ただ単に振り返っているだけじゃない、多少後ろ髪を引かれながらも、抗えない気持ちの変化だとか、立ち止まってしまって追い抜かれた気持ちや、グズグズしている気持ちだとか、そのあたりの表現に優れたバンドは少ない。これを三人でやっているんだから、とんでも楽団だよ。

 

なんだか、バンドレビューみたいになってしまった。

 

   ライブが終わってから森氏に挨拶はしたものの、コミュ障が爆発しまくってなにも話せなかった。「ライブよかったです」と伝えられたので満足だけれど。全ての曲目が終了後、ドリンクチケットを引き換えようとカウンターみたいなところへ向かった。列は長く、カウンター前で乾杯する30代前後の内輪ブラザーズみたいなのがたくさんいた。そいつらはその場から退こうともせず、騒ぎ立て、自分らが邪魔になっていることも忘れて高揚していた。僕はそういう人や集団が非常に苦手だし、何だか見てて恥ずかしくなる。こんなところでドリンクを交換して、誰も乾杯する人がおらず、温くなっていくジントニックをチビチビ一人で飲むくらいなら一刻も早く帰ろうと、下北沢駅に向かった。生きづらさってのはこういうところで感じる。

 

   ライブはあんまり好きじゃない。だけれど、そんな負の感情を突き放すほどいいライブもある。whoopsもそうだった。(結局ドリンク替えられなかったけど)年に1回程度、終わってから誰か知らない人に話したくなるような、お酒を飲みたくなるような、そんな素敵なライブに出会える。根拠は無いけれど、たくさん行けばいいというものじゃなく、これだと決めて行くからきっとそう感じることも多いのかどうなのか。僕は別にたくさんのライブを観てきた人間ではないし、演者誰もが120%本気だろうけれど、どうも期待外れのライブもたくさんあった。

 

 

   熱量、若さや勢いが時間と共に発揮できなくなって「威勢がなくなったね。」と言われるようになるのか、熱量だけじゃない別の「空気」や「技術」でこれからを勝負するのか。なんかこんなものはバンドだけじゃなく、人材も一緒な気がしている。歳を取るに連れて、やる気だけじゃやっていけないのよね。刺さるなあ。面接も何もかもそうだ。

 

 

 

 

   今自己PRをするなら、やる気・熱意以外に何を僕らは持っているんだろうね。

 

 

 

 

   何はともあれ森氏みたいな化け物メンタルの女性、好きだ。素敵なライブをありがとうございました。

宮田さん、須永くん(どうやら同じ大学らしい)も、また行きますね。

 

 

   

それでは。余ったドリンクチケットで締めます。

 

 

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