×××× IN MY HEAD

筒井です。夢はお笑い芸人のままです。

なにもしらない

 

いつだったか。Galileo Galileiの活動休止ライブの日、僕はライブ会場隣駅の某新聞社ビルで働いていた。彼らは武道館、僕は竹橋駅

 

 当日はどう考えてもチケットが取れるはずもなく、時間的に仕事も終わるはずないというダブルリーチによって足を運ぶのは泣く泣く諦めた。そもそもライブが苦手だから、息巻いていたほどではなかったけれどやっぱり今後悔はある。ある。とてもある。数曲のストリーミング放送が当日放映され、こっそり職場のPCから観た記憶がある。Galileo Galileiについては決して1stアルバムから全て聴いてきたというような、FoZZtoneフジファブリックほどの熱は僕の中になかったけれど『PORTAL』だけは特別中の特別なアルバムで、なぜそんな十年前くらいの話をするかというと久々に『PORTAL』のような作品に出会える予感にドキドキしているから珍しくこんな音楽の話をブログに書いている。当時僕はスーパーカーの『Futurama』以来の高鳴りを『PORTAL』に感じたのだ。

 

 

 Galileo Galileiがいなくなってから、FOLKSBird Bear Hare and Fish、Warbearなどメンバーを中心に色々枝分かれしつつそれなりに以前と毛色は少し近い曲が量産されていたけれど、何か軽かったりヤケにポップだったり、それこそPOP ETCやPassion Pitでよくない?って程ドリームポップ寄りな曲が作られたりとする内に結局聴かなくなってしまっていた。こういうバンド、きっと他にも山ほどあるんだろうな。再び出会えることができるのもすべてタイミングということで、その時を待ちます。そんなこんなで尾崎兄弟の音楽とは空白の1年くらいがここにある。

 

 たまたまTHE 1975の動画をYouTubeで観ていると、前述のBird Bear Hare and Fishがカバーをしていた。まずそもそもバンド名がBBHFに省略されていたことをその瞬間に知った程度の知識で、わかりやすくなったなと。(スペル間違えそうでドキドキするし。)

 

  そこでのBBHFはただただ和製THE 1975だった。こんなこと言うと該当バンドファンから「全然ちがうんだけど」とご指摘いただいてしまいそうだけれど、そうにしか聴こえないくらい演奏のクオリティも高く(特にギター)ただのシンセポップソング集団の面影は無く、極限まで無駄な音を排除した「今風」なバンドに仕上がっていて驚いた。「今風」というのは悪い意味でなく、2006〜2012年代はとにかく音を詰め込む超絶技巧っぽさだとかいわゆる「残響レコード感」みたいなものが流行っていたけれど、今の流行りは韓国もそうであるように「lo-fi」だったり、もっと日本語らしくすると「ふわっと」したような空気感のある音楽が流行る傾向にあるそうで、BBHFは大衆寄りにならずとも『PORTAL』の頃から積み上げてきた「ふわっと」感がここにきて洗練されたような気がした。小難しいこと無しに「好き」になった。

 

 

ということもあり、2019年の音源も聴き返したところ「なにもしらない」に辿り着いたわけ。こんなとんでもない曲が去年発売されていたなんて全然知らないし、歌詞・音・メロディ何をとっても完璧なため、最近毎朝これしか聴いていない。誰に勧めたいというより、こんなに蘇るようなバンドがあることも嬉しいし、9月に出るアルバムから1曲だけ解禁されているけれど、文句無しに何度でも聴ける。尽く好きなバンドが活動休止や解散する中で、こんなに今後も楽しみなアーティストに出会えた喜びをここに書きたかった。