×××× IN MY HEAD

筒井です。夢はお笑い芸人のままです。

アカレンジャー

管理職1ヶ月目

 

課長になった。正式には課長代理。

 

なぜ代理かと言うと、課長は残業代が出ないかららしい。

さすがに26歳の中途社員にそんな待遇をするわけにもいかず、僕は課長のいない課の課長代理になった。なんなら部長もいない。ただ6人程度のセールスが存在しているチームだ。監督兼選手みたいなことをしている。元ヤクルトの古田みたいなもんだな。多分。

 

 

チームの統率はすごく難しい。個性や数字に対しての意識、危機感、提案書のニュアンス、メールの文面、何から何までが違う。どうしたら皆が同じ方向を向くのかをいつも考えている。考えていながら毎日が終わり、深夜になる。明日が来て、僕はまた仕事に奔走する。

 

 

そういえば僕はいつもリーダーではなかった。リーダーみたいな役割をリーダーの裏で一緒にやるのが好きだった。リーダーの為に何かをする暗躍者みたいなポジションが僕は好きで、誰も評価しなくてもリーダーが僕を評価してくれることで頑張れた。

 

 

そしたら、リーダーになった。

 

 

リーダーは孤独らしい。カクレンジャーオーレンジャーにもリーダーはいたが、いつも仲間に囲まれて人気者だった。思い返せば僕はアカレンジャーも好きではなかった。圧倒的な正義という人間らしさの無さが気に食わないのか何なのか、敵と味方を行ったり来たりするスパイのような男や、姑息な技を使う(遠距離武器とか)ブルーやブラックに憧れていた。そんなアオレンジャーがある日を境にアカレンジャーになってしまったのが今の僕だ。明確な役割が生まれてしまった。そんな会社で成り上がったニセアカレンジャーの僕は、チームの意見を聞きながら、敵を倒しながら、希望を見せながら戦っているところだが、放送1ヶ月目にして必殺技も無ければ巨大ロボも居らず、慣れない近距離戦術と自己暗示を鍛えまくっている。

 

 

 

どんな上司だったら幸せなんだろうか。

 

 

前の会社にて、直属の上司はまるでダメな人が多かった。目先の利益だけを考えて、チームの不協和音を作る元凶になる人までいた。あれはきっとアカレンジャーの素質の無い役者だったんだろう。対して、上に行けば行くほど僕の扱いが上手く、伸び伸びと仕事をさせてくれる素敵な人がたくさんいた。今はどうだろう。同い年くらい、ましてや僕より先に入っている人たちの上に僕が立ち、どこまで対等になって、どこまで権力を出すのが正解かまだわからない。

 

 

わからないから、とりあえず同じ目線で働いている。何か起きた時の責任と、日々の提案や企画設計や同行はできるだけ共にして、僕が管理職タスクをみんながいる時間帯に行わず、とにかくバックアップに回っている。

 

 

そんなこんなで1ヶ月、いよいよ僕の働き方の正解が見えてきた。結局僕はたまに表舞台で戦いながらも、日々営業メンバーの裏側で暗躍する人間に徹する。これが中間管理職としての戦い方なのだ。そういえばアカレンジャーは自分のためにではなく、正義だとか友人や家族や地球のために戦っていたから、きっとそれが正しいのだろう。

 

誰かのために自己犠牲で何かをするという、新たな人生にビビりながらも、ようやく僕も慣れてきました。

 

 

それでは、また。