ぶっちゃけブログサボってました、筒井です。
『ATM事件』
「事件」と「事変」の差とは、政府を転覆させるようなことを「事変」と言うみたいな話を聞いたことがある。僕にとっては「事変」レベルの話だったから、これは『ATM事変』と言っても過言ではない事案だ。その日は、朝ご飯を珍しく食べて、宿のママに挨拶をして(例の酒飲みママ)、街をフラフラしながら「香格里拉(シャングリラ)」行きのバス停に向かっていた。今回の旅は珍しく前もってどこの場所に行くかだけは決めていたから、中国国内を移動する際のチケットは事前購入していたものの、シャングリラ行きのバスは三十分に一本出ているからいいだろうってなノリで、当日取る予定だった。日本と違って中国にはバス専用のターミナルみたいなものがある。そこでチケットを買うのだ。もはやそんなところで買うことに抵抗や心配は無い。気分はチャイニーズだ。
お土産買っとかねえとな。
日本でも数人にはお世話になったので、頼まれた全員に買うわけにも行かずとも(そもそもそんな荷物持てない)数少ないお土産を選んでいた。麗江はわりかし観光地化しているから、ぼったくり方もエゲつなく、160元(約¥2560)を値切り倒せば半額の80元(約¥1280)くらいになったりする。なんだかんだ¥3000くらい全部で支払いに進むと、財布に現金が全然入っていなかった。そりゃそうだ。到着してから一度しか両替していない、むしろよく一週間も三万程度で持ったほうだ。店員のオッサンに「両替してくる!」と伝え、1km先のATMを目指した。麗江は相変わらず傾斜が激しく、15kgのリュックを背負って歩き回れるほど僕の体は出来上がっていない。ヘトヘトだった。
ATM(希望)を見つけた。
僕はクレジットカードが大嫌いだ。(使っている気がしなくて怖い)だから基本手持ちが無い時は、デビットカードで支払う。僕のデビットも海外対応しており、海外のATMにぶち込むと日本の口座から両替された紙幣が出てくる。便利な時代だ。そんな感じでカードを入れたものの、「please wait」から三分ほど画面が切り替わらない。よくわからない。とりあえず「確定」ボタンなんかを押したりしてみた。すると画面はトップページに戻った。トップページに表示されていた言葉は「请插入银行卡。」つまりですね。
「 カードをいれてください 」
いや僕のカード入ってんだけど!!!!!!
カードが食べられた。カードがATMに飲み込まれたのだ。これには結構焦った。まさかこんなところでカード飲み込まれ童貞を卒業するとは思わず、一旦外でタバコを吸い、ニヤニヤしながらATMの写真を撮った。「始まったよ。」って感じだったし「やってんな」ってブツブツ言いつづけていた。
「やってんな」
これは旅券の名前ミス以来の「やってんな」案件だったため、とりあえず僕はATMについているコールセンター直通みたいなボタンを押し、状況を説明した。雰囲気はこんな感じ。
「さぁせん!カード出ない!俺、麗江のATMにいる!さすがにビビる!どうしたもんかね!」
電話越しでオペレーターが何か言っているが、ご存知の通り僕は話すことは多少できても言ってる意味が単語でしか理解できず、クソみたいな音質のせいで10分間話してて聞き取れた単語は「5分 待つ 銀行員」だった。多分ここに5分後、銀行員が来るのだろう。僕は待った。気づいたら一時間が経過していた。
これは来ないなと思い、僕は最終手段に出た。宿のママをこの場に特殊召喚する。連絡先を交換したので、ママに連絡をするとママが5分で召喚された。お前は5分で来るのかよとツッコミながら、ママが手際よくコールセンターに連絡をして、僕らは再び待つことになった。(どうやら五分後に出発する、遠いから凄く時間がかかる。)という意味だったらしい。
卡被吃了=カードが食われました。
平然とトップページに戻るATM
ママ、電話で話す。
結果、1時間後くらいに銀行員が来てくれた。「お前のカードは何色だ!?」と言われたので「黒です。」と返すと僕のカードを渡してくれた。そんなガバガバな確認方法あるかいと思いながら、安堵と感謝が溢れました。ママにハグをして、何回も頭を下げた。ビールならまたご馳走するねと。お土産屋のオッサンには三時間後に再開した。どこのATMまで探しに行っていたか聞かれたけれど、説明が難しくて「いろいろあった。」という便利な言葉で返しておきました。
今日はシャングリラに到着するところで終わりにします。ATMが長すぎた。
以下、写真+一言コメント
これも名称は「小籠包」
小籠包を卵でとじてた。今回の旅行で一番美味しかったかも。
バス待合室 人がいない。
当て字
バス 中型 豪華 という表記に騙された感はある
どんどん登る、目指すは海抜3500m
到着した。夕方にも関わらず、空は明るかった。
麗江は宿までも素敵だった。日本人は全然行かないらしいけれど、ぜひ行く人がいたらママの宿に泊まってあげてくれ。場所教えるから。それと中国人の温かさに触れてしまった。勿論、前も書いたけれどいい人だけじゃない。そりゃ日本も一緒。僕がこの旅行で一番試されているのは中国語ではなく、人を見る目ということだと13日目の朝を迎えた今日、西双版納空港で、ふと思った。もう帰国が近い。これから成都へ戻ります。
それでは、また。