×××× IN MY HEAD

筒井です。夢はお笑い芸人のままです。

化物になる決意

 

僕はファッションに興味がない。

 

 

 

 

   好きなブランドもない。好きなお店は1軒もない。ただなんとなく見つけた古着屋さんで、ただなんとなく色褪せたシャツを買うくらいで、新品の洋服を買うことは滅多にない。思い返せば、貧乏だった大学生の頃の方が洋服を買っていた気がする。年に10着も買わないのではないだろうか、今は。なんて言ったって昔より興味が無くなってしまったから。

 

 

 オシャレは魔物だ。オシャレに正解は無い。そんなファッションモンスターに取り憑かれたら、よくわからないセレクトショップで値下げ前提の服を買い出したりする。大量生産で価格が相当安いならまだしも、某社のように、どこのショッピングモール(アウトレット含)にもあるくせに強気な値段設定な洋服は理解ができず、ブランド代というものを感じる。

 

 そもそも40%〜60%オフを前提とした価格設定なのも騙されているような気分になる。「お前らそろそろ寒くなるけどアウターいるか?はい定価な。」「ロンTはもう季節的にいいだろ、欲しかっただろ?じゃあ40%オフな。買えよ。」と店が語りかけてくる。そんな店に棲み付くファッションモンスターは僕にも牙を向く。前述の通り僕は洋服のことに詳しくもないし、何のどういうコーディネートがオシャレなのかもよくわからないまま買い物をする弊害として、そういうキッチリした(街のボロボロの古着屋さんとかじゃない)お店に入った瞬間のトキメキが半端じゃない。アレもコレも素敵に見えてしまい、レジでモンスターは虎視眈々とほくそ笑んでいるのだ。なんだか店内もちょっと明るいし、全体的に色合いがいい感じに見える。モンスターの魔法が既に店内に充満していて、人々は楽しそうに試着をしている。恐ろしい。

 

 

 

 

 奴ら三人と台湾に行った際、台湾のジャーナルスタンダードに行った。

 

 

 

 

 日本のジャーナルスタンダードとはまったく違う空間だった。正直、そこはもうファッションモンスター養成所のような場所で、少し尖ったオシャレ風なジャケットやらパンツが辺り一面に計算し尽くされたかのように並んでおり、モンスターの餌食となった野口は悩んだ末にロンTを買っていた。その背中にはモンスターとして堂々と生きていく決意が見えたし、現にヤツはオシャレだからそういうのを着ていても、買っていても違和感がない。

 

 

 果たして僕はどうだ。僕がこんなお店でジャケットを買ったところで、モンスターになれるのだろうか。こんなジャケットを買ってしまったが故に、帰国してから僕がモンスターになってしまうのではないか。「#今日のコーデ」で投稿する未来が見えた。

 

 

 

 結局僕は買えなかった。

 

 

 

 

 化物に飲み込まれた人たちはみんな楽しそうだ。羨ましい。俺だって無茶苦茶オシャレをしたい。飲み込まれる決意ができないまま、今日も中途半端な服を着て私服で通勤している。きっとモンスターになってしまったほうが楽しいんだろう。そしてこの間、松尾くんと野口くんには頼んだ。

 

 「お前らが俺の服を選んでくれ。」

 

 言わば誰かの力によって僕もファッションモンスターの仲間になろうとしている。

 

 

 今日も頑張りましょう。