×××× IN MY HEAD

筒井です。夢はお笑い芸人のままです。

フジファブリック

 

フジファブリックを久々に聴いた。

 

 

高校の頃、俺のiTunes再生ランキング上位はずっとフジファブリックだった。当時はiPod classicが音楽好きのマストバイだった。容量こそ正義。LastFMもしっかり同期させて、俺はあの数万人もいない田舎の中の田舎という地元で一番音楽を聴いている男の子だという謎の自負を持っていた。そういう「虚勢」みたいなものが俺のエネルギーだったんだよね。笑っちゃうけれど。

 

 

FoZZtoneとplenty、そしてスーパーカーが上位にいたけれど、やはり当時はフジファブリックだった。志村に憧れて同じようなTシャツを買ったり、似合う訳もないハットを被ったり、フレッドペリーのカーディガンを買った。あの頃、俺は16歳くらいだった。その頃、志村はもうロックスターだった。

 

そんな俺も志村が亡くなった年齢になった。そしてまた志村の進まない誕生日が今日も訪れた。生きていたら志村は何歳なんだろうね。そんなこともすぐ出てこないけれどきっと40歳過ぎなんだろう。そう、43歳かな。あの頃29歳だった人が43歳になるほど時間が経った。「時が経ったら何かが変わるかな」と歌っていたあの頃からそんな経ち、時が経てば何もかも変わることを知った。実際、変わらないものはあんまり無かった。ボロボロになりながら、変わらないものを守ろうと抱き締めながら背中を向けていることが増えた。これでいいんだと、自分を信じる術を覚えた。あらゆる状況で立ち回る力を得た。何もかも望んだ訳ではなく、そうしなきゃ生きていけないくらい辛いことから自分を守る為に勝手に身についた。僕だけじゃなく、みんなそうやって大人になった。

 

 

 

やりきれないことばかりだし、いつだって不満ばかりだけれど、数少ない幸せをしっかり噛み締められるようになった。

 

 

 

もうあの頃には戻れないと思いながら、みんな昔を振り返って英気を養うらしい。前や上を見ながら進める人なんてごく僅かなんだから、下を見ながら、振り返りながら、半歩でも進む。どうしようもない毎日にフジファブリックが流れると、あの頃が蘇って、また頑張れる。志村が止まっていることが決していいことではないけれど、まあそれもそれでよかったのかなって自分を納得させる。いつ聴いても志村は29歳。俺は16歳に戻れる。それでいい。唯一無二だ。遠くで雷が鳴っている。

 

‎フジファブリックの"星降る夜になったら"をApple Musicで